金電極に架橋されたSc2C2@C84の透過固有状態

Atomistix ToolKit 2.3より、新機能として関数 「calculateTransmissionEigenvalues( )」、「calculateTransmissionEigenstates( )」 が搭載されました。これらは、透過固有値および透過固有状態[1]を計算するための関数です。透過固有状態を求めることにより、伝導に寄与する電子状態を可視化することができ、その結果、系の物理特性を理解する上での手助けとなります。以下では、透過固有値および透過固有状態のケーススタディーとして「金電極に架橋されたSc2C2@C84の透過固有状態」の計算事例をご紹介いたします。

計算系

図1に本計算事例の計算系を表示します。中央領域にある分子は、Sc2C2@C84で、C84なる外殻構造にスカンジウム元素2つと炭素元素2つを内包された構造をしています。また、Sc2C2@C84の接触面はAu(111)とし、Au7×7面の間にSc2C2@C84をはさみました。本計算事例では、この系のzero-biasにおける透過係数、透過固有値、及び透過固有状態を計算いたしました。


図1 金電極(111)に架橋されたSc2C2@C84

結果と考察

透過係数

計算されたzero-biasにおける透過係数を図2に示します。0.42 eV 付近に鋭いピークがあることが確認できます。このピークがどのような電子状態からの寄与によるものか解析するために、0.42 eV における透過固有値および透過固有状態の計算を行いました。

透過固有値と透過固有状態

透過固有値の計算から0.42 eV でのピークに寄与している透過チャネルは1つであることが分かりました。その透過チャネルを透過固有状態の計算によって可視化したものを図3に表示します。この図は、透過固有状態をSc2C2@C84内部のSc2C2部位からなる平面内での等高線表示により、示したものです。透過固有状態の解析によって、外殻のC84構造由来の電子状態だけでなく、内包されたSc2C2の電子状態も0.42 eV でのピークに寄与していることが分かりました。


図2 金電極(111)に架橋されたSc2C2@C84のzero-biasにおける透過係数


図3 0.42 eV における透過チャネルの透過固有状態

References
[1] M. Paulsson and M. Brandbyge, Phys. Rev. B 76, 115117 (2007)


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