ATK&VNL 2017.0 新機能紹介

リリース情報

バージョン Atomistix ToolKit&Virtual NanoLab 2017.0
リリース日 2017年7月

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VNL-ATK-2017.x (x=0, 1, and 2)はこちらからダウンロードできます。

ライセンスについて

  • 本バージョンをインストールするためにはVersion17.0以上のLicense Featureが必要です。貴機関にてバージョンアップ可能かどうかわからない場合はご連絡いただければ幸いです。
  • ATK-ForceFieldを実行するためには、専用のライセンスが必要です。有効な保守ライセンスをお持ちのアカデミックユーザーはATK-ForceFieldを追加料金なしでご利用いただけます。企業ユーザーの方はお問い合わせいただければ幸いです。
  • FHI-aimsをご利用いただくためには、どなた様もライセンスの購入が必要です。
  • VASP関連機能をご利用いただくためには、ATK-VASPのライセンスが必要です。フリーのVNL(アカデミック版)にはVASP関連機能は搭載されませんのでライセンスを別途購入される必要があります。またVNL本体にVASPは付属しません。

VNL-ATK-2017.0 新機能紹介詳細

  • エレクトロン-フォノン相互作用に関する処理
    • すべての行列を可能な限り粗行列として処理することにより、即ち、非零要素のみを取り扱うことにより、メモリ使用量を大幅に削減 (800 GBから1.3 GBへの削減に成功したベンチマーク例あり)。
    • 移動度の計算手法、一定緩和時間 [constant relaxation time (BoltzTraPに類似)]近似を導入。これは、単純なナノワイヤー、ナノチューブ、2次元スラブなど、輸送方向について完全に周期的なデバイス系に適用可能。ダイナミカル(ヘシアン)行列および$dH/dR$の計算は電極についてのみ行われ、その結果、処理速度は最大で10万倍増加。なお、緩和時間として、実験値または計算値(ダイナミカル行列を用いて計算、エネルギーについて平均)が使用できる。
    • 特定のエネルギー領域内で全フォノン・モードを丸める近似法の採用により、処理速度が$10\sim100$倍増加。
  • Phonon Transmission計算手法の新規導入
      Special thermal displacement (STD)近似を導入。これに基づくSTD-Landauer法を用いると、IV曲線の計算にフォノン散乱の効果を効率的に取り込める。即ち、バイアス電圧の掛かったデバイスにおいて、中央部のダイナミカル行列および電極に関する計算のみから、エレクトロン-フォノン相互作用を計算できる。ここで系として、全フォノンモードに対して正準分布平均をとった原子配置を採用する。STD-Landauer法の詳細、及びこれを用いたシリコンPN接合系の電流特性、シリコンのバルクやナノワイヤーにおける移動度の温度依存性(下図)の計算方法に関しては、文献T. Gunst et al., "First-principles electron transport with phonon coupling: Large scale at low cost," Phys. Rev. B 96, 161404(R) (2017).を参照のこと。
      シリコンPN接合系についての計算結果。PN各部のアクセプタおよびドナーの濃度はともに$2\times10^{19}$ cm$^{-3}$。輸送方向の長さが(a,c,e) 6.5 nm、(b,d,f) 19.6 nmの場合についての考察。(c,d)は、両系につき、電子-フォノン結合を無視した場合に比べ、STD近似に基づく計算結果はリーク電流値の6桁程度の増加を示している。
      (a) 直径1.3 nmのシリコンナノワイヤーの透過係数。黒線: 絶対零度における原子配置に対する結果, 赤線: 3つの異なる長さのワイヤーに対する、STD-Landauer法による計算結果。(b) シリコンのナノワイヤーおよびバルクにおける移動度。
  • 全般的な処理性能の向上
    • Fermi準位より上のバンドを幾つまで考慮して計算するかを自動設定(これまでは手動で設定する必要があった)。これにより、処理速度が最大で2倍増加。
    • 自己エネルギーを保存するの際のオプションの拡充。
      • NoStorage: 大規模な系を扱う際のメモリ使用量の大幅な削減(但し、各ステップ毎に再計算が必要)。
      • SaveInMemory: 処理速度の向上(但し、メモリ使用量は増加)。
      • StoreOnDisk: 処理速度の向上、メモリ使用量の削減(但し、一時的なファイルの保存にディスクを使用)。
      • 同一の電極を使用する場合、一度計算した自己エネルギーの使い廻しが可能。 ($*$)
    • グリーン演算子の粗行列表現に関する処理の向上(メモリ使用量の削減、並列処理)。
    • 分散Pulay mixerに関する処理の改善。
    • 上述の($*$)に関して: 左右電極が移動しても、形状から電極としての同一性を自動的に判定(この機能をオフにすることも可能)。
    • 自己エネルギーのキャッシュメモリへの書き込み・読み込み速度が向上。
    • 位置空間におけるグリッドを使用した計算に関して、処理速度が20%増加 (使用メモリは10%増加)。
  • バンドギャップの計算に関して
      ATK-2017.0では、次の2つの方法を追加採用。これにより半導体のバンドギャップの正確な計算が可能に。
    • DFT+1/2法
      • 局所的および半局所的な交換相関汎関数に関し、自己相互作用による誤差を半経験的DFTによって補正。[参考文献] L. G. Ferreira, M. Marques, and L. K. Teles, "Approximation to density functional theory for the calculation of band gaps of semiconductors," Phys. Rev. B 78, 125116 (2008), L. G. Ferreira, M. Marques, and L. K. Teles, "Slater half-occupation technique revisited: the LDA-1/2 and GGA-1/2 approaches for atomic ionization energies and band gaps in semiconductors," AIP Adv. 1, 032119 (2011).
      • パラメータの可搬性が高い。例えば、金属やIII-V族合金の酸化物について計算を行う場合、同一の酸化状態の酸素に対し同一のパラメータが使用可能。この意味においてMGGA や GGA+U に比べ"より第一原理的"である。
      • 酸素(酸化物用)、シリコン、III-V族およびII-VI族半導体については、パラメータはチューン済み。
      • 但し、DFT+1/2法は、force/stressを使用する構造最適化には利用しない方がよい
    • Pseudopotential Projector Shift (PPS)法
      • QuantumWise社が独自開発した方法。empirical pseudopotential法と類似だが、DFTに基づく。擬ポテンシャル関数のパラメータを最適化することにより、系の格子定数およびバンドギャップの正確な記述が可能。
      • シリコンとゲルマニウムの2つについては、擬ポテンシャル関数のパラメータはチューン済み。これを用いて混合系Si$_{1-x}$Ge$_x$の格子定数およびバンドギャップが正確に計算できることが確認されている(下図)。
      • PPS法は、パラメータを適切に調整すれば、フォノンの計算にも利用可能。
      • 混合系Si$_{1-x}$Ge$_x$のバンドギャップを$x$の関数としてプロット。PPS法の計算結果は実験値とよく一致している。
  • 保存ファイル形式のHDF5への変更
      ATK 2017.0より、デフォルトの保存形式がHDF5に変更。これにより、新機能の実現、処理速度が向上。
    • HDF5ファイルへの、メタ文字によるコメントの書き込みが(calculators、バンド構造、その他すべてのオブジェクトに対して)可能 。
    • HDF5ファイルからデータの削除が可能。
    • 並列処理速度の向上。
    • MD計算における処理速度の大幅な向上。
    Note: ATK-VNL 2017.0は、HDF5ファイルだけでなくNCファイルの入出力も可能(古いバージョンのATKで出力されたNCファイルは、少なくとも読み込みは可能)。
  • データベースに関して
    • VNLからMaterials Projectデータベースを利用可能。
      • 元素、結晶構造、その他のパラメータに関する組み合わせから、データを検索できる。
      • 検索結果が表で示される。結晶構造の情報が示され、結晶の3次元構造も表示される。
      • 結晶構造だけでなく、バンド構造やDOSなどもVNLからインポートし可視化。
    • Crystallography Open Database (COD)インターフェースの改良。
    • MySQLやMongoDBなどのデータベースに対するインターフェースを、カスタムプラグインとして作成可能。
    • ATK で得られた計算結果をユーザー定義のデータベースに登録できる。
  • Wigner-Seitz近似の導入
       結晶系のフォノンは、ダイナミカル行列(ヘシアン行列とも呼ばれる)に対する固有値問題の解として調べることができる。ここで、ダイナミカル行列の要素は、$n_{\rm A}\times n_{\rm B}\times n_{\rm C}$のスーパーセルを用いて計算される。これは、結晶構造を記述するユニットセル(或いは、最小単位であるプリミティブセル)を、結晶軸X($=$A, B, and C)の方向に$n_{\rm X}$回繰り返して得られるセルである。このスーパーセル中央部のユニットセル内において、各原子の位置を$x$, $y$, 及び$z$軸方向にそれぞれ微小に変化させ、このときスーパーセル内の各原子にかかる力場をもとに、ダイナミカル行列の要素を計算される(詳細に関して、例えば次の文献を参照: T. Gunst, T. Markussen, K. Stokbro, and M. Brandbyge, "First-principles method for electron-phonon coupling and electron mobility: Applications to two-dimensional materials," Phys. Rev. B 93, 035414 (2016).)。従って、スーパーセルを構成するユニットセル自体が大きい場合、計算コストは非常に大きくなる。例えば、ユニットセルが100個の原子を含む場合、最低でも2700個以上の原子それぞれにつき600回の演算処理が必要となる。
       さて、フォノンに関する計算コスト低減を目指し、ATK2017.0からWigner-Seitz近似を導入した。これは力場のWigner-Seitz分割に基づく新しい近似であり、これは、十分に離れた、同一周期上にない原子同士の相互作用を無視するものである。
       Wigner-Seitz近似を利用すると、上述のようなスーパーセルを用いずに、フォノンのバンド構造や、エネルギー固有値を正確に計算することができる。なお、ユニットセルのサイズ無限大の極限において、Wigner-Seitz近似は厳密な結果を与える。但し、実際には、プリミティブを$3\times 3\times 3$程度繰り返して得られるユニットセルを用いれば十分な計算精度が達成される(特に音響フォノンの状態密度に関する計算では収束が速い)。
       欠損を含むバルクシリコンにおけるフォノンのバンドとDOSを以下に示す。ユニットセルには63個のシリコン原子が含まる。Wigner-Seitz近似に基づく計算結果は、$3\times 3\times 3$のスーパーセルを用いた従来法の計算結果とよく一致している。なお、従来法が計算に9日要したのに対し、Wigner-Seitz近似による計算時間は43分であり、計算効率にして300倍の増加である。
  • イオンダイナミクス
    • セルサイズ可変のNEB法の導入(下左図)。これにより、例えば、相転移の計算が可能。
    • PLUMEDの使用により、メタダイナミクス法が利用可能。
    • トラジェクトリの保存にHDF5形式を採用することによる 処理速度の向上。
    • 結合情報を考慮した力場関数[Valence force fields (VFF)]の導入(結合情報は自動的に割り当てられる)。
    Note: ATK-ClassicalはATK-ForceFieldに改名。
  • Builderに関して
    • Wulff構築法の改善: 多種の平面の使用、および表面エネルギーについてのデータベースが使用可能。
    • 結合距離、結合角、二面角の測定ツールの導入。Builder、ViewerおよびNEBで使用可能(画像を動的に更新)。
    • Coordinate list内にて、ドラッグ操作で原子の順番を入れ替えることが可能。右クリックにより原子を最上部や最下部に移動することも可能。
    • 大規模系(数百万個程度の原子)取り扱い時の、"Send to"機能の改善による処理速度の向上。
  • 解析メニューに関して
    • Born effective charge analysisにて、電場印加時の構造最適化およびNEB計算が可能。
    • TotalEnergy analysisにて、自由エネルギーの計算(.evaluate()を使用) 、及び$T=0$ Kへの外挿。
    • PhononDensityOfStates analysisにて、零点振動エネルギーおよび自由格子エネルギーの計算が可能(分子やバルクに対する擬調和振動子近似のもとでの振動自由エネルギー)。
    • Fermi面の計算および可視化。
    • 状態密度およびバンド構造を、各原子からの寄与成分に分解。更に、各原子軌道において、方位量子数、磁気量子数、スピン状態の成分に分解。
    • スピンテクスチャをプロットするためのスクリプト。
    • Bi$_2$Te$_3$のスピンテクスチャ。
  • Script Generatorの初期設定に関する変更点
    • デフォルトの基底関数系としてSG15 Mediumを採用。
    • 元素およびその擬ポテンシャルを指定すると、mesh cut-offの値を適切なものに自動設定。
    • 交換相関ポテンシャル汎関数のデフォルトをLDAからGGAに変更。
    • 計算の収束を加速するため、デフォルトの電子温度は$1000$ K。精密な計算を行う場合は、温度を低く設定すること。
    • デバイス系の計算においては、デバイスアルゴリズムのデフォルトをNeutralAtomsに変更。これにより、多くの場合は収束が加速し、使用メモリも減少する。但し、計算の収束が悪い場合は、EquivalentBulkを使用すること。
    • DFTに基づく弾性定数の計算および構造最適化において、Maximum Step Sizeの値を適切なものに変更。
    • Note: これらの変更のため、VNL-2017.0とこれ以前のバージョンは、それぞれにおいて同様の方法でスクリプトを作成し計算を行ったとしても、異なる結果を与える可能性があることに注意する。
  • Job Managerに関して
    • 新しいキューマネージャのサポート: LSF and SLURM。
    • 診断ツールの改良。
    • マシンにジョブが存在する状態でも、そのマシン内容の編集が可能。
    • スクリプトジェネレータからSend toボタンを用いてジョブを投入するとき、ファイルを再保存しなくてよい。
    • Passwordsとkeysに関する機能: (1) ビルトインSSHキー生成機能、(2) Job Managerにパスワードが保存可能(password-less sshキーを作成する必要なし)。
    • job IDの表示(ジョブ識別性の向上)。
    • Job IDの短縮化(クラスタシステムが、キュー上のジョブに対して文字数制限を課す場合)。
    • PBS スクリプトのプレビュー。
    • パスによるPBSバイナリの場所の指定が可能(バイナリのパスを記述する箇所が空白の場合)。
    • SabalcoreサーバのATK On-Demandにおける特別プラグインの導入。
  • 3次元プロット
    • 力場別あるいは速度別に原子を彩色(下図)。MD軌跡などの動画でも彩色が可能。
    • 原子配置の周期に合わせ、セルも周期的に表示。デバイスの場合、$z$軸方向への周期表示。
    • セルをリピートすると等値面もリピートされる。
    • 指定した等値の値通りにカラーバーを表示。単色表示も可能。
    • プロット$\cdot$ウィンドウを多数立ち上げたときの、処理速度$\cdot$操作性が向上。
    • カラーバー位置の調節が簡単に。
    • ビュアーに画像表示ウィンドウのリストを表示。
    • Perspective表示にて陰影付き表示可能。
    • ベクトル場(例えば電流密度)のプロット。
  • 2次元プロット
    • プロットの詳細設定に関する情報も保能。
    • 2次元プロットをPythonスクリプトとして保存。
    • 例えばバンドとDOSなど、異種プロットを重ねて表示(下左図)。
    • 図中に矢印やラベルの挿入(下右図)。
  • ATK-PlaneWave
       現在開発中のATK-PlaneWave、即ち、Plane-wave DFTモジュールを、ATK2017で先行試用できる。現時点では一部機能制限があるが、今後、順次制限解除の予定。ATK-PlaneWaveはVNLから利用でき、構造の作成から計算の設定、実行、解析までをGUIで気軽に行うことができる。また、Pythonスクリプトを用いたCUIも利用可能。ATK-PlaneWaveは、計算の初心者から専門家まで、誰にでも使えるツールとして提供される予定である。
  • プラットホームに関して
    • ATK2017はIntel MPIライブラリにコンパイルリンクされている。
      • MPI&OpenMPハイブリッド並列処理を最適化するための、MKL自動スレッディング制御機能が追加。このため、OMP\_NUM\_THREADを手動で設定する必要はない。
      • インフィニバンドのサポート。
      • MPI並列処理の実行に関し、WindowsおよびLinuxともに、Intelのmpiexec.hydraが利用可能。
    • LM-Xライセンスサーバのアップデート(統一のためWindowsとLinux で同じバージョンを採用)。
    • (特にWindowsにおいて)インストールの高速化。
    • 32ビッド版のサポートを終了。
    • Mac OS X版の開発予定なし。
  • その他
    • FHI-aimsのバージョンをアップデート。
    • Abinitはパッケージに含まれない。
    • Quantum Espresso (QE)用プラグインにおける(QE出力ファイル形式の変更にともなう)バグを修正。
    • 表面構造の処理に関する機能の拡充。[参考文献]S. Smidstrup et al., "First-principles Green's-function method for surface calculations: A pseudopotential localized basis set approach," Phys. Rev. B 96, 195309 (2017).
    • ログファイルへの出力内容の精査 (冗長な情報の削減)
    • 引っ張りなどのストレスを与えたGaAsおよびSiに対するenvironmental tight-binding モデルの採用。[参考文献] G. Hegde, M. Povolotskyi, T. Kubis, T. Boykin, and G. Klimeck, "An environment-dependent semi-empirical tight binding model suitable for electron transport in bulk metals, metal alloys, metallic interfaces, and metallic nanostructures. I. Model and validation," J. Appl. Phys. 115, 123703 (2014).
    • 計算の収束に関する情報をオブジェクトファイルに保存。これはVNLからも確認可能。
    • 新しい占有関数の導入: Methfessel-Paxton, Gaussian, ColdSmearing
    • rigid body拘束条件下での構造最適化アルゴリズムの改善。
    • 新しいAnderson混合法導入による計算の収束性の向上。
    • AKMC スクリプトのサポート。
    • CrystalStructurePrediction機能の充実(使用方法はマニュアルにて解説)。
    • 新しいPoissonソルバー(並列共役勾配法)の導入: ゲートを有する系において、MultiGridおよびDirect solversの代わりに使用される。MultiGrid法を利用した場合に比べ、処理速度が2$\sim$9倍増加、 メモリ使用量が1/3$\sim$1/5に減少 (ある程度大規模なMPI並列計算を行った場合)。
  • 未解決のバグ
       同一のPythonスクリプト上に、ATK-ForceFieldに基づくダイナミカル行列の計算と、力場やエネルギーに関する計算をこの順で記述すると、力場やエネルギーが正しく計算されない可能性がある。ダイナミカル行列に関する記述の後、calculatorの設定をリセットする(新たに書き直す)と、このバグを回避できる。

ATK&VNL 2017.1 バグ修正バージョン1

リリース情報

バージョン Atomistix ToolKit&Virtual NanoLab 2017.1
リリース日 2017年9月

VNL-ATK-2017.1 修正箇所

  • 重要な問題の改善
    • 各原子にかかる力や系全体にかかるストレスの計算精度向上を目指し、2中心積分をこれまでより細かいグリッドを用いて実行するように変更。従って、構造最適化やフォノン振動数の計算に関して、バージョン2017.1で得られる結果は、2017.0以前のバージョンで得られる結果よりも精密である。
    • バンドギャップの計算精度向上を目指し、GeのPPS計算に用いるパラメータのデフォルト値を改定。
    • Stdout (標準ストリーム出力)に、シンタックス、その他のエラーメッセージを表示するよう変更。以前のバージョンと同様に、並列処理実行時でも表示。
    • チェックポイントファイルの書き出しに失敗しても、警告メッセージを吐きながら計算を続行するよう変更。
  • 新機能の追加
      基本的には、バグ修正マイナーアップデート時に新機能を追加することはないが、今回は例外的に、バージョン2017.0で抜け落ちていた機能、及びユーザーから強い要望のあった以下の機能を新規に追加した。
    • フォノンのバンド構造をプロットする機能。
    • スーパーセル・ツールにて、重なってしまった原子を削除するオプション。
    • Cleaverにて、系構成物の化学式を表示。
    • Viewerにて、MDトラジェクトリに対するタグ付け機能。
    • Job Managerにて、アカウントの明記によるPBSマシンのセットアップ機能。
  • 深刻な問題の解決
      以下に列挙する、クラッシュや不具合に関する問題を解決。
    • VNLがGL_SCISSOR_TESTというエラーメッセージを吐いてクラッシュする(若しくは3次元グラフを正しく表示できない)。
    • save_partial=Falseとすると、DOSがHDF5ファイルに保存されない。
    • Spin-polarized LDA+1/2をデバイス/表面系に使用する際の不具合。
    • Viewerの+/- isosurfaceオプションの不具合。
    • RandomSpin使用時、HDF5ファイル保存を実行するとクラッシュ。
    • Snに対してSG15を用いたPW計算を実行するとsegmentation faultが発生。
    • initial_stateを指定し、PW計算をMPI並列処理で再実行するとクラッシュ。
    • OpenSUSEでの深刻なエラー(Don't crash if PYTHONSTARTUP is defined (and fails))。
  • 計算ミスの修正
      以下に列挙する、(ごく軽微だが)間違った計算結果を与えうるバグを修正。
    • Noncollinear設定にて、GGAおよびMGGA計算を並列処理で実行すると、電子密度に微小な計算ミスが発生。
    • 古典的力場関数を用いてダイナミカル行列計算を行い、その直後にエネルギー、力、ストレスの計算を行うと、これらに計算間違いが起こる。
    • Slater-Koster計算で軌道占有数を整数に設定すると、密度行列に計算間違いが発生。
    • 結合性力場関数を使用して構造最適化を行うと、間違った結合情報を使用してしまう。
  • 修正または改善された機能
    • キャッシュを用いたfat bandstructureプラグインの高速化。
    • Script Generatorで擬ポテンシャル関数を変更すると、エネルギー積分の下端のデフォルト値が適切に自動変更される。
    • 構造最適化計算実行時、各原子にかかる力のログファイルへの出力形式を見易く改善。
    • Viewerでもタグ選択が可能。
    • ローカルマシンでMPI並列実行時に発生したライセンス認証エラーを解決。
    • 要素1つの配列でqpointsを定義しても、移動度の計算が実行可能に。
    • IV 曲線スクリプター"Self-energy calculator"のドロップダウンメニューのバグを解消。
    • デバイスに対するtranslate (move)プラグインのバグを解消。
    • Lowest-order expansion (LOE)近似実行時における、"Phonon energy intervals"のバグを解消。
    • デバイス/表面系で原子を削除すると発生したインデックスエラーを解消。
    • NEB計算実行時、ファイル読み込み処理で発生した、スピン初期状態に関するバグを解消。
    • Viewerのfuzz(暈し)設定に関するバグを解消。
    • Kerker予測子の設定に関するバグを解消。
    • 多数(>1000)の原子をタグ付けする場合のフォーマットを改善。
    • 初状態と終状態のみを指定して(中間状態なしで)も、NEB計算が実行可能に(何もなされず、ただ正常に終了するだけ)。
    • 分子に対するPDOS計算のクラッシュを解決。
    • ライセンス認証におけるエラーメッセージの出力形式を改善。
    • Job Managerのローカルマシン編集で、シリアルジョブ実行時のスレッディング・オプションに関するバグを解消。
    • 負値スコアの電極採用時にElectrode Sizeプラグインがエラーを吐く問題を解消。
    • Fermi表面の等高値表示に関するバグを解消。
    • 2次元プロットに関する、バグの解消、新機能の追加:
      • ツールバーにグラフドラッグアイコンをドロップするときに発生した不具合の解消。
      • 矢印を描画すると、次元不整合を示唆するエラーが発生した問題の解消。
      • プロット領域の外部にも文字の書き込みが可能。
      • 対数プロット設定時に、拡大や文字の書き込みなどができなくなるバグの解消。
      • pltファイルをEditorにドロップして編集が可能。
      • Windowsにおいて、アイテム・プロパティの編集時に発生していたエラーの解消。
      • プロット表題の改善。
      • 凡例表示の改善。
      • 矢印がプロット領域外部にはみ出す問題の解消。
      • 矢印の取っ手(棒)の部分が消せない問題の解消。
      • Band structure analyzerの曲線を消せないように修正。
      • PDOSの表示設定を何度も変更すると、パネル内の小ウィンドウが消えてしまう問題を解消。
      • WindowsでPDOS analyzer使用時、プロット領域が変更できない問題の解消。
      • DOSとBandstructureのプロットで、ラベルに使用されるフォントを統一。
      • 色彩選択で発生したQtバグを回避。
      • BandstructureとDOSを重ねてプロットするとき、メジャーが使用不能になるバグを解消。
      • BandstructureとDOSの重ねプロットをキャンセルするときに発生するバグの解消。
      • スクロール固定軸と拡大に関するエラーの解消。
  • FHI-aimsインターフェースのアップデート
    • 電子密度オブジェクトがVNLで正しく処理できない問題を解消。
    • Scripterが"Internal" relaxationに関する正しいスクリプトを生成できない問題を解消。
  • VASPインターフェースのアップデート
    • NEBをVASPにエクスポートするときに発生する原子配列に関するバグを修正。
  • プラットフォームに関する問題の解消
    • xdg-utilsパッケージ不採用のLinuxにVNL-ATKをインストールと、デスクトップアイコンの作成に失敗。恰もVNL-ATKのインストールに失敗したかに見えるため、紛らわしい。
    • Microsoft Visual Studio 2017がインストールされているWindowsにVNL-ATKをインストールするとき、(既に存在するため)Visual C++ runtimeのインストールに失敗する。VNL-ATKのインストールに失敗したかのように見えるため、紛らわしい。
    • ATK On-Demandプラグインからdiscontinued "chrome"クラスタを削除。
  • Quantum Docsドキュメントの改訂
    • PhotoCurrentモジュールの仕様書をDocs » ATK Manualに追加。
    • HDF5形式のファイルでのメタ文字の使用方法についての記事をDocに追加。
    • モジュール名変更OneShotDisplacement → SpecialThermalDisplacementに伴い、対応するDocs » ATK Manualの仕様書も変更。
    • Docs » ATK Manual » Atomic-scale Simulators » ATK-ForceFieldにおいて、InGaNポテンシャルに関する参考文献の情報を修正。
  • 未解決のバグ
    • LCAO展開を採用し、スピン軌道相互作用を考慮し、更に、processes_per_kpoint>かつ1 SCFステップ(つまりSCF収束させない)の条件で計算を実行すると、全エネルギー値に微小な誤りが発生。 (¶)
    • processes_per_neb_image=Noneかつpreoptimization=TrueでNEB計算を実行するとクラッシュする。NEB計算を実行する前に、end-pointを構造最適化しておくと(本来は常にそうすべき)、クラッシュを回避できる。
    • 正当な許可のないシステムフォントを使用していると、matplotlibが起動時にクラッシュする。全フォントを全ユーザーに読み込み可能にしておくと、これを回避できる。
    • 未だユニコードの文字をサポートしていない箇所がある。
    • 一つのスクリプトにNEBとHTSTが含まれていると、計算実行時にBack Engine Exceptionが発生する。
    • FHI-aimsのELPAソルバーでMPI並列処理を利用するとハングする(どうしてもMPI並列処理を実行したい方は、サポートまでご連絡ください)。
    • デバイスに対して、メジャーの挙動が少し荒くなりうる。
    • 並列処理実行時は、TransmissionEigenvaluesをnlsaveできない。
    • SLURMプラグインでOpenMPをうまく設定できない。
    • 上記以外にも、幾つかごく軽微なバグあり。

ATK&VNL 2017.2 バグ修正バージョン2

リリース情報

バージョン Atomistix Toolkit&Virtual Nanolab 2017.2
リリース日 2017年10月

VNL-ATK-2017.2 修正箇所

このアップデートでは、ごく少数のバグ修正、及び、SynopsysによるQuantumWiseのM&Aに伴うEULA (End-User License Agreement)の更新が行われました。このM&Aの意義に関して、次のページをご覧ください: Learn why QuantumWise becoming part of Synopsys is a big step forward for atomic scale modeling!
  • バグの修正、その他の変更
    • Effective Massプラグインの追加。
    • VNL-ATK-2017.1にて報告されていた上述のバグ(¶)の解消。
    • ATK PlaneWave計算において、BlochStateに位相の情報が欠けていたバグの解消。
    • SynopsysによるQuantumWiseのM&Aに伴うEULAの更新。

QuantumATK-2017.12 Synopsysバージョン

リリース情報

  • SynopsysによるQuantumWiseのM&Aの結果、バージョン2017の最終版はQuantumATK-2017.12です。製品名の変更、及び、SynopsysのライセンスマネージャーSCLを使用する点が、ATK&VNL-2017.2からの主な変更です。
  • バージョン QuantumATK-2017.12
    リリース日 2017年12月

    ダウンロード

    QuantumATK-2017.12はSynopsysのダウンロードサイトSolvNetからダウンロードしてください。


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